デザインとナラティブの話
Note

こころ動かすナラティブをデザインにする
技術やインフラの発達、情報共有の拡大など様々な要因により、商品やサービスそのものの機能や品質だけで差別化することは以前よりも難しくなってきています。
そんな状況のなか、 ユーザーが商品やサービスを選択する際に需要になるのは、「なぜそうなのか」という意味にまで共感できるナラティブや体験です。
そして私たちは、誰しもがこころ動かすナラティブを持っていると信じています。だからこそ、ナラティブを大切にしたWebサイト・グラフィックデザイン制作を行なっております。
そもそもナラティブなデザインとは
ナラティブ(Narrative)とは、物語や語りを意味する言葉です。
ただそれは、歴史の事実といった客観的な出来ごとや、小説や映画のようなフィクションの物語だけのことではありません。これらはストーリー(Story)と呼ばれる物語です。
では、ナラティブとはいったいどういう物語のことでしょうか。
ナラティブとは、出来ごとや情報に対して、その語り手がどの体験してどういう意味を持たせているのかという主観的な物語のことを指します。
とあるカフェで飲むことのできるコーヒーで例えてみます。
そのカフェでは400円でMサイズのアイスコーヒーが提供されています。これだけでは単なるコーヒーのありふれた情報にすぎません。
では、そのコーヒーが「ブラジル産の豆を使った」と説明されたとします。カフェのこだわりやコーヒーの味が垣間見えてきますが、まだナラティブとしては弱いでしょう。
さらに深掘りをして、「そのコーヒーの原料の豆は、ブラジルの小さな農園で真心を込めて作られています。店主が現地に赴き、直接農家と交渉をして仕入れています」と説明され、店内には店主と農家が仲良く写っている写真が飾られていたとします。
ここまでくるとコーヒーに込められた想いや、店主のこだわりを感じることができます。さらに、そんなコーヒーが400円で飲めるなんてという驚きも加わるかもしれません。
このように、情報にコンテキストを与え、意味を生み出す語りこそがナラティブなのです。
ナラティブをデザインにするということ
ナラティブをデザインにするというのは、ただ情報や機能だけを見せるのではなく、その背景にある想いや価値、意味も体験できるように伝えるということです。
私たちの得意とするWebやグラフィックの場合、ナラティブを情報として直接テキストで伝えることも大切ですが、配色や装飾、情報の並べ方、写真、タイポグラフィなど、あらゆるデザインの要素に一貫して表現できているかということも大切になります。
そして、Webやグラフィックの領域だけに留まらず、企業やブランドの他の要素に横断してもイメージがブレていないかという視点も重要になってきます。
そのために、お客様に寄り添いながら、業界にまつわる情報を徹底的にリサーチし、お客様の情報やナラティブを可能な限り深掘りしていくということを制作において必ず行っております。
重要視されるナラティブ
冒頭でも少し触れましたが、商品やサービスそのものの機能や品質だけで差別化することが難しい状況の中で、「なぜそうなのか」という意味にまで共感できるナラティブや体験が重要になってきています。
インターネットやSNSの普及により、ユーザーはいつでも簡単に商品やサービスの情報を比較できるようになりました。
価格、性能、レビューなどの情報はすぐに手に入るというのは、生活の質を向上させる一方で、多くの商品やサービスが似たような価値を提供する状況になっています。つまり、参入障壁が薄くなっている分、コモディティ化が起きやすいという現状です。
そういった中でユーザーが惹かれるのは、商品やサービスの背景や価値観といったナラティブです。最近のビジネスシーンでよく言われているのは、モノ消費からコト消費へユーザーの消費行動が変化しているということです。
モノ消費とは、商品やサービスそのものの機能や品質、価格など、物理的な価値に重きを置いた消費のことで、かつてはこちらが中心でした。
コト消費とは、その商品を通して得られる体験や時間に価値を感じる消費のことです。 そして近年は、さらにその先、意味に共感して選ぶ消費が広がっています。
だからこそデザインにも、機能や見た目を伝えるだけでなく、その商品やサービスの背景にあるナラティブや価値観を伝える役割が求められています。
とはいえ、性能や価格など基本的な要素は無視をすることができません。あくまでも商品の性能や価格などはユーザーの需要に応えているという前提での話になります。
限られた情報の中で、どうコンテキストを伝えていくのか
Webサイトやグラフィックデザインでは、表現できる情報に限りがありますし、ユーザーが情報に触れる時間はほんの少ししかないことも珍しくありません。
そのため、読ませるだけでなく見せる部分、視覚そのものに意味を持たせることが重要になります。
例えば配色であれば、青色は誠実さのイメージ、黄色は明るさや優しさのイメージといった色彩心理を活用することができます。他には、キャッチコピーを大きくすれば迫力や勢いを連想させ、大きさを抑えれば上品さや静けさを連想させるといった視覚言語も活用することができます。
このように、視覚に意味を持たせることで直感に訴えかけることができ、テキストで伝えるよりも伝わりやすいということは多分にあるのではないでしょうか。
その逆で、テキストで伝えるべき情報もあります。何を視覚化し、何をテキストとして伝えるのかという情報の取捨選択がとても大切になってくるのです。
そういった意味をデザイン上に正しく積み上げてバランスが崩れないようにするために、私たちは細かい部分までこだわって考えぬき、とことんお客様と向き合ってデザイン制作を進めてまいります。
